Cocco Lifestyle blog

日々の「実験」について書いてます。壮大な自由研究帳 → 幹細胞みたいになってます。機能が分化した別館も併せてよろしくお願いします

オレゴンの手作り石鹸メーカーSappo Hillのホームページでみる石鹸づくりの姿勢と石鹸の歴史

昨日、アイハーブでSappo Hillの石鹸を注文した話を書きました。

 

coccolifestyle.hatenadiary.jp

 

昨日の時点で残っていた疑問は、Sappo Hillの石鹸はコールドプロセスなのか?という点でした。

そのあとネットをうろうろしていると、Sappo Hillの石鹸はコールドプロセスだと書いていらっしゃる記事に行き当たったのですが、その根拠がアイハーブでは見つけ出せなかったので、あ、そうか、Sappo Hillのホームページを見ればいいのかと思い当たり見てみました。

 

Sappo Hillのトップページです。

 

www.sappohill.com

ネットでも買えるみたいですが、アイハーブのほうが安いのと、日本まで送ってくれるのか?というのと、50ドルで送料無料みたいなことが書いてあった気がしましたが見つけられませんでした。

送料なんかのことを考えたら、日本からだとアイハーブがいいだろうなーと思いましたが、アメリカ在住の方だといいかもですね。

 

アイハーブだと同じもの12個がセットになっていますが、Sappo Hillのホームページからだと1個ずつ買うことができて、3.5オンス(約100グラム)が3ドル前後のようです。

それから、12個アソートが30ドルです。

アイハーブで売っているよりも沢山の種類があります。

 

 

で、本題。

 

Sappo Hillの石鹸はコールドプロセスなのか? About Usより

 

About Us

 

 

結論からいうと、Sappo Hillの石鹸はコールドプロセスのようです。

 

コールドプロセスというのは、油と水、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を混ぜて石鹸状(鹸化といいます)にしたのちに、長い時間をかけて自然乾燥させるものです。

 

石鹸の作り方には加熱する方法もありますが、コールドプロセスは加熱せずに自然に任せて鹸化させるので(「ので」でいいのかは不明なんですが)、使えるようになるまでに時間がかかります。

水酸化ナトリウムは非常に強いアルカリ物質で、石鹸の場合も、油と水、水酸化ナトリウムを混ぜた時点では、めっちゃアルカリ度が高いです。

常温で結構長い時間放置しておくことによって、アルカリ度が下がり、肌に直接つけても危険でなくなります。

 

家で作っている場合は、油の種類によっても違いますが、最低1か月くらいは置いておいた方がよいです。

っていうくらい時間がかかるものなんですが、Sappo Hillの石鹸はココナッツオイルが多そうなので、もしかしたら鹸化のスピードは速いかもしれません。

 

(参考)石けん学のすすめ

4-1.油脂とけん化速度

水酸基をもつリシノール酸含有量が高いヒマシ油は特例ですが、ヤシ油・バター(牛酪脂)・ラード(豚脂)・タロー(牛脂)などの高いけん化速度は、下記のとおり、脂肪酸組成に由来します。最高値のヤシ油と最低値のオリーブ油のけん化速度の落差は、およそ21.7倍におよびます。

 

いずれにせよ、コールドプロセスはめっちゃ手間がかかります。

なのに、こんな安くていいのか?というのがあって調べていたんですが、ホームページを見る限りでは、ポリシーを持ってコールドプロセスを続けていらっしゃるみたいですね。

 

前置きがめっちゃ長くなりましたが、ようやくホームページの内容です。

ほぼ全文訳になりました。

 

Sappo Hillはオレゴン州のアシュランドに拠点を構える家族経営の会社です。

40年以上も植物由来の素材だけでコールドプロセスの石鹸を作り続けてきました。

 

40年の間にキッチン → ガレージ → 工房と成長を続けてきたわけですが、その間ずっと昔ながらの製法と全成分自然でオーガニックな素材、動物実験を行わない姿勢を保ち続けてきました。

 

Sappo Hillの伝統的なkettle process(水酸化ナトリウムの水溶液に少しずつ油を注いでいくイメージを持つけれども詳細は不明)では、食品グレードのKosher Non-GMO、認定されたパームとココナッツ冷搾オイルをよく混ぜ合わせることで、肌になじみやすいグリセリンが沢山できあがります。

(注:油・水・水酸化ナトリウムを所定の手続きによって混ぜ合わせて放置しておくことで、石鹸分とグリセリンが生じます。そのためコールドプロセスの石鹸には、石鹸分だけではなくてグリセリンも含まれています。工業製品としての石鹸では、塩析によって純粋な石鹸分だけを取り出していることも多いようです)

 

ひとつひとつの石鹸は手作りでワイヤーでカットされ、自然乾燥からの熟成を経て、すっごいマイルドで長持ちします。

オレゴン州のアシュランドで毎日作られているので新鮮です。

 

 

コールドプロセスは手がかかりますが、固形石鹸の製法としては明らかに最高のものです。

手作りで少量で時間のかかるコールドプロセスは、もはやアメリカのどの石鹸メーカーも採用しておらず大抵のメーカーは機械生産で自動化されています。

多くの石鹸は、国外や海外にアウトソーシングされています。また、多くの会社は、大きな石鹸メーカーから商品を買い付け自分の会社のラベルを貼っています。

 

Sappo Hillのグリセリンクリーム石鹸は動物を使った素材を使っていないし、動物実験も行っていません。

私たちは、2003年から二酸化炭素の排出を減らしてきました(でいいのか? We have offset our carbon output since 2003)。

また、人道的組織に年間トンの石鹸を寄付し、女性起業家のサポートや世界中のグリーンプロジェクトへのローンを提供しています。

製品の包装は最低限にしてリサイクルし、環境にできる限りやさしくしています。

石鹸の個包装はしていませんので、毎年9トンのゴミが出ないようにできています。

私たちはまた、ゴミほぼゼロ運営をしていて、アメリカの一人当たりのゴミよりも少ないくらいです。

Everyone can make a difference!

 

 

石鹸づくりの歴史

 

History of Soapmaking

 

 

石鹸が作られる以前にも、yucca, soapwort, and horsetailのような植物からの抽出物によって、洗浄は行われていました。

 

いわゆる石鹸が記録に登場するのは紀元前2500年のシュメールで、水とアルカリ、カッシアの油で石鹸が作られたことが粘土板に残されています。

また、エジプトでも日常的に風呂に入っていて、動物や植物の油脂をアルカリ塩と混ぜ合わせた石鹸みたいなもので洗浄していた証拠が残されています。

 

有名なのはローマの伝説で、動物のいけにえから流れ出した油脂と木の灰のアルカリが混ぜ合わさって川に流れ込んだものが石鹸の由来とされています。

(Mount Sapoが石鹸(soap)の名称の由来)

ローマの風呂は紀元前312年ごろには建造されていて、石鹸はガリア人からもたらされたと信じられています。

 

ローマ帝国の滅亡とともにヨーロッパの石鹸と風呂は衰退します。

ヨーロッパ以外の文化では風呂は続けられましたが、ヨーロッパで風呂が復活するには数世紀を待たねばなりませんでした。

 

石鹸製造業のギルドができたのは17世紀です。

交易上の秘密は固く守られ、石鹸職人の訓練と昇進は高度に統制されていました。

イタリア、スペイン、フランスなどの南ヨーロッパが初期の生産の中心地でした。これらの地域は、オリーブオイルやアルカリ液の原材料であるbarilla ashesがよく採れる地域です。

 

イギリスでは12世紀に石鹸製造がはじまりました。

イギリスでは不幸なことに、石鹸に対してぜいたく品の重税がかけられていたので、石鹸が手に入るのは富裕層だけでした。

1853年に石鹸に対する税が廃止されると、石鹸を商品として販売することが個人の清潔さに対する社会的態度へとつながっていきました。

 

植民地時代のアメリカでは、女性が家で作るものでした。1600年代になると、イギリスの会社がアメリカに来て商品として売るようになります。

 

石鹸の商売は科学の発展にも影響を受けています。

1791年、フランスの化学者であるNicholas Leblancは、食塩からアルカリを作る方法の特許を取りました。

彼の製法によって、ソーダ灰(参考:ブリタニカ百科事典)は高価ではなくなりました。

 

1800年代の初頭、Michel Chevreulは油脂とグリセリン脂肪酸の関係性について発見しました。

この発見が、油脂と石鹸の化学の基礎となります。

 

1800年代の中頃になると、ベルギーの化学者である Ernest Solvayが、食塩を原料とするソーダ灰の製法を改良して、アンモニアから作る方法を発見しました。

アンモニアからの製法によってソーダ灰は入手しやすくなり、また品質も向上しました。

 

科学の進歩によって、石鹸は商品として手に入れやすくなります。

そして、そのことによって、石鹸は異なるアイデンティティを持つようになります。

つまり、入浴用の石鹸、洗濯用の石鹸、掃除用の石鹸です。

 

市場はすでに多様化していて、メーカーもすぐに要請に応えるようになりました。

Armour Soap Works (now the Dial corporation)のような会社が、今日知られている石鹸の大企業、たとえばColgate-Palmolive, Proctor and Gamble, Dial, Jergens, and Lever Brothers. Ivory, Lifebuoy, Camay, Zest, Tone, Safeguard, Caressなどが活動する下地を作りました。

 

1970年代の中頃には、デオドラントソープが仲間入りし、Irish Spring, Coast, and Shieldといった名前が流行りました。

そして、Neutrogena, Basis, and Oil of Olayといった特別な機能を持つ石鹸も現れました。

 

また、そのころ、Ann Bramsonという女性が小冊子を作り、アメリカの石鹸工業に革命をもたらし始めました。

その小冊子は"Soap: Making it, Enjoying it"といい、家での手作り石けんや極小工業としての石鹸づくりのリバイバルの引き金となりました。

 

消費者は大量生産、大量販売の製品に飽きていたので、小規模の石鹸製造家は歓迎されました。

それと同時に小さな石鹸工場は、特別な機能を持つ石鹸のマーケットも満たしていきました。

創造性にあふれた手作り石鹸は、作ることおよび製品への愛と、同じではないものへの需要を生み出しています。

 

 感 想

いやー、興味ぶかいですね。

欧米における石鹸の工業化と大衆化、マスからの回帰としての手作り石鹸があるわけですね。

日本での手作り石鹸の流れは、おそらく前田京子さんの本が出発点で、定番化していろいろバリエーションができてすでに十数年経つと思います。

その流れで私もSappo Hillの石鹸に行きついたわけですが、家内制手工業で40年間作り続けていられる=商売として成り立っているのがすごいと思います。

なんか、東大阪とか蒲田大森とかの町工場が精密機械の金型や部品を提供しているのと同じような。

 

アメリカでは1970年代にマスに飽きがきて個性重視の時代に入ったっぽいですが、日本では2000年以降ですかね。

アメリカの1970年代がどういう時代だったかを調べて分析することで、現在の日本に役に立つのかもしれないと思ったりします。

カテゴリ違いになりますが、バンデューラの暴力・攻撃性に関する研究はずっと気になっていて、彼の研究動機なんかも含めて知りたいと思ったりもしています。