Cocco Lifestyle blog

日々の「実験」について書いてます。壮大な自由研究帳 → 幹細胞みたいになってます。機能が分化した別館も併せてよろしくお願いします

【リンク】環境に広がるイソシアネートの有害性

イソシアネートというのは、柔軟剤のマイクロカプセルの材料となっている有機化合物です。

イソシアネート自体は建材などにも使われているらしく柔軟剤だけの問題ではありませんが、経口摂取だとわりと簡単に体内に排出されるが吸入または皮膚接触すると人体への有害な影響が大きくなるという論文を見つけましたのでリンクしておきたいと思います。

 

 

環境に広がるイソシアネートの有害性(2012)

http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/healthy/jsce/jjce21_1_82.pdf

 

 

 

I.概況

  • イソシアネートはウレタン単分子である
  • ウレタン製品が工業化されたのが1960年代後半
  • 諸外国ではイソシアネートの健康への影響に関して膨大な研究を実施
  • 1980年代後半から、イソシアネートは工場内だけでなく身近な環境でさまざまな用途で使われるようになる
  • 諸外国では今までの間に研究が進み健康影響メカニズムの詳細も明らかにされている
  • 一方日本においてはイソシアネートの応用研究は盛んであるものの、健康に関する研究はごく限られている
  • また、日本においては、「用途とイソシアネートの汚染源が市民生活の隅々にまで著しく拡大して、乳児を含む消費者・傍観者など一般市民が曝露の蓄積を受けることが認識され、国策として対策の強化が急がれるようになった」「に広がっているにも関わらず、一般への情報提供・啓発は疎かであり、環境化学物質としての認識は諸外国と大差がある」

II.イソシアネートの系列化合物とその物理的・化学的性質そして用途

  • イソシアネート基を持つ系列物質は沢山あり、ポリウレタンなどを作る際に使われる
  • イソシアネートを利用した主な製品には、建築材料、家具、家電、自動車、衣料、文具、医療材料、一般材料ななどがある(表2)。各材料には、細かい材料が載っていて多岐に渡ります。余談ですが、医療材料の中にはソフトコンタクトレンズも書かれています。私はド近眼ですが、コンタクトレンズができません。ハードレンズはゴロゴロしてできません(触角の過敏によると思われる)が、ソフトレンズはつけている間に重苦しくなり目が開けられないようになります。医者にはたんぱく質汚れのアレルギーだといわれていましたが、もしかしたらイソシアネートの影響もあったかもしれないと思いました
  • その他詳しい内容が載っているので本文をみてください

 

III.症状およびこれまでの対応

  • イソシアネートを経口で摂取した場合、消化器内で尿素やアミンに変わり排出されやすいのであまり害はない
  • 吸入した場合は、肺胞 → 血液 → 血漿の成分(血清アルブミンやヘモグロビン)とイソシアネートの抱合体となり全身の臓器へ
  • 体内での寿命は人によって異なり、半減期は約1~21日
  • イソシアネート抱合体が多く蓄積するのは、上鼻部の臭覚器、気管支、肺など呼吸器と、次いで腎臓、心臓
  • 皮膚からも進入する。呼吸器と同様にイソシアネートの抱合体として全身の臓器へ。喘息を引き起こす場合もある。粘膜や皮膚と容易に反応して刺激し、目や皮膚の症状も起こす
  • 「著しく感作性で、極めて低濃度でも感作し、発症率が高い。日本のウレタン工場作業者を調べて、0.02ppmに10分程度、或いは0.005ppmに労働時間の15%程度の曝露でも感作することを確かめた研究がある。一度感作されると、その100分の1程度でも症状を再発すると言われ、また、感作以前にも発症することがあるともいう。」
  • イソシアネート系列の物質、ホルムアルデヒドトルエンにおける毒性の強さの比較は表3
  • 症状は表4。かなり多彩。
  • 感作や検査についてはp.87を参照。イソシアネート自体が抗原にならない場合も多い。「一種類のイソシアネートに感作されると、他種のイソシアネートにも、誘導体のアミンにも交差反応する。」「アミンは、イソシアネートの体内代謝および環境中化学反応で誘導される。TDIアミンも有毒である。」

 

IV.イソシアネート系列製品からの空気汚染メカニズム

  • この項は要約しようがなかったので、全文引用させていただきます。要は、単体としてのイソシアネートがどういう性質なのかとか、製品が個体だからとかそういうことは関係なしに、イソシアネートが空気中に撒き散らされる可能性が十分に考えられるということではないかと思いました。
  • 「イソシアネート製品(表2、図3)の中には、市民生活の場で活性なイソシアネートのモノマーやプレポリマーのまま使用され、現場で重合反応させるものもある。塗料、接着剤、変性コンクリート(水浸透防止)、変性アスファルト(工程簡易化、軟化防止など)、プライマー、変性漆喰、道路舗装材料(表面層接着剤)、シール材などである。しばしば日本の製品安全データシート(MSDS:Material Safety Data Sheet)には「イソシアネートとしては分子量が大きく液体なので空気を汚しません」との記載がある。しかし、化学の実験技術として、揮発しにくい化合物でも揮発しやすい化合物と混合すると揮発しやすくなることがよく知られていることを思えば、偽りの記述と考えざるを得ない。」
  • 「また、蒸気圧に依存した揮発でなくて、スプレイや攪拌に伴う大気中への飛散、および浮遊粉塵に吸着しての飛散でミストやエアロゾルの形で空気汚染することも考慮しなければならない。」
  • 「イソシアネートが重合して固体のポリウレタンになっていれば、空気を汚す心配が無いと言うのも早計である。ポリウレタン廃棄物は金属など種々の触媒を用い、100°C~200°C程度の加温によってイソシアネートに解重合してケミカルリサ
    イクルする。このように、ウレタンをやや加温することでイソシアネートのガスを発生する。。更にまた、温度が上昇しなくても、切断・粉砕など新しい表面や摩擦が生じる機械的作業では、静電気やマイクロプラズマが必ず発生するので、それによってもポリウレタンが分解してイソシアネート等を発生させる。の作業ではまた、粉塵の発生もあるので、ポリウレタンの粉塵とそれに吸着したイソシアネートとして空気を汚す。粉塵のポリウレタンも有害であるが、粉塵は大気中で紫外線および他の大気汚染物質との作用で、イソシアネートに解重合しながら拡散し続けることも考えられないことではない。機械的作業では、運動条件に敏感に依存して放出物の量と質が変わるので、発生を抑制するためには設計を検討しなくてはならない。鋭プラスチックごみ圧縮施設という名目で、大規模で過酷な摩擦を伴うプラスチック等混合ゴミ中間処理施設(杉並中継所・新宿中継所)があったが、その周辺大気からは炭化水素アルデヒドなど極めて多種類の系統的揮発性有機物群と共に、イソシアネートが検出された例もある。そこでのアンケート調査などで、ポリウレタン繊維の着衣で皮膚の発赤や気分の悪さの訴えがあったが、活動中の衣服の摩擦でイソシアネートなどが発生していた可能性がある。」
  • 「多様な市販のポリウレタン製品が、必ずしも適切な条件で重合・高分子化が完成して揮発物を含まない固体になっているかどうかも疑わしい。その極端な1例として、輸入した電気ストーブ塗料からのガスで健康被害が生じ、原因は出荷前の塗装で十分な熱処理を行われず、重合不完全だったという報道があった。」
  • 「一般環境で工事するときの材料は、イソシアネートなどの樹脂原料を多量のトルエンやキシレンなどの有機溶媒に溶解したものである。工場での比較的純粋なイソシアネートに感作された場合に比べてどのようになるのかという医学的研究も必要であろう。」
    「発症例として、1)漆器工場で装置付着物をガスバーナで取ろうとして気化したイソシアネートの中毒が生じた、2)アスファルト舗装を改造中に舗装材料中から気化したイソシアネートで作業員全員が咳こみ、内2人は治療が長引いた、3)熱圧縮ウレタンシートを扱っていた作業員が肺臓炎になった、4)トンネル工事で土砂にウレタンを注入していて中毒となった、など塗装以外の例も多いが、原因を酸欠等と誤られていることも多いと推測されている。」

 

V.分析検出による立証

  • イソシアネートの分析技術にはさまざまなものがあり、それらの分析技術を使うことで、健康への影響に関する調査が実施されている(個々の分析技術については本文を参照)
  • イソシアネートは半揮発性
  • イソシアネートは高濃度でも健康に著しい影響をもたらす
  • 「一般に環境中揮発性有機化合物の濃度は変動が著しく、日時によって10倍どころか数百倍も変動するから、長時間の平均濃度やある時点のみの濃度を厳密な数字で把握しても実用的な意味はない。空気汚染を多くの場所で、何度も繰り返し測定して実態を知ることがまず肝要である。」
  • 「体内のイソシアネート代謝過程の分析も実施例がある。故・坂井公氏は、トルエンジイソシアネート代謝で生じた尿中のトルエンジアミンを分析する簡易で正確な方法を開発し、32名の作業従事者を調査して、生物学的モニタリングが可能で
    あることを確かめている。わが国でも作業中に死亡した人体から多量なイソシアネート検出で、死亡原因が酸欠によるものなどではないことを確認した例もある
    。皮膚からの吸収を調べる分析試料採取方法も提案・実施されている。吸入した放射性イソシアネートの体内挙動を調べた研究や、ボランティアによって排泄過程を調べた研究も、化学物質初期リスク評価書で紹介されている。」

 

VI.海外と日本の研究および規制動向の比較

  • 海外ではすでに市民生活での暴露を前提とした研究や学会、意見交換、規制が進んでいるが、日本では立ち遅れている
  • イソシアネートの一般への周知が遅れているために、イソシアネート由来の健康被害と思われる場合であってもアセトアルデヒドが原因だと思い込む一般人も少なくない

などの話が詳しく書かれています

 

VII.結び、緊急の課題

とばします

 

 

思ったこと

 私たちはすでにあらゆる場面でイソシアネートに晒されているのでは

柔軟剤にイソシアネートが使われているということで興味を持ちましたが、柔軟剤だけではなくてあらゆる場面でイソシアネートに晒されているのだと感じました。

あちこちでイソシアネートに晒されて反応しやすくなっている上に、近距離で長時間暴露される可能性の高い柔軟剤に晒されてえらいことになる、とか、香料とセットだと意識しやすいとかそういうことがある気がしました。

 

他の成分との複合で何が起こるか

一般工事などでは、イソシアネートをトルエンやキシレンなどの有機溶剤に混ぜて使用することが多く、工場でのイソシアネート単体での使用などとは使い方が違い、そういった違いによって健康への影響が違ってくるのか否かについても研究の余地があるということでした(p.88)。

柔軟剤でのイソシアネートの使用方法で明らかになっているものは、香りを包むマイクロカプセルでしょう。イソシアネートは半揮発性であるとはいえ、香料は揮発性のはずなので、それらがくっついて働いたらどうなるんだろうか?という疑問を持ちました(類似の指摘は本文中にあります)。

ついでにいうと、ポリウレタン繊維の服を着ても気分が悪くなったり皮膚が赤くなったりということがあるということですから、香料のマイクロカプセルでも起こらないとはいえない気がしました。

 

体内の有機化合物はゼロになるのか

有機溶剤のことを調べ始めてから気になっているのが「半減期」です。

半減期というのは、「○日で最初の半分になる」という期間だと思うんですが。

イソシアネートの場合は約1日~21日と個人差があるようですが。

イソシアネートが半分に減ったら、健康にはどの程度の影響があるのか。

また、半減期というのは、ある期間で半分になる、またある期間でそのまた半分になる・・・・というのを繰り返していくはずなのですが、半減を繰り返してもゼロにはなりません。ということは、一旦イソシアネートを吸い込んだら、微量であってもイソシアネートの形で体内に残り続けるんでしょうか。それとも何らかの形で代謝されて、新たに体内に取り入れられなければゼロになるのでしょうか。

もしも、微量であっても体内に残り続ける場合、イソシアネートは非常に微量であっても感作するとのことなので、体内に微量に残ったイソシアネートによって感作し続けるということはないのでしょうか。

自己免疫疾患と呼ばれる状態というのは、もしかして、体内に微量に残って自己の成分とくっついた有害物質を攻撃するとか、そういうことがあったりするのでしょうか。

 

「TDIアミンも有毒」とのことですが、イソシアネートで具合が悪くなる場合、ヒアリの毒は大丈夫なんでしょうか

ヒアリの毒の一つは、「水不溶性のピペリジンアルカロイドであるソレノプシン」(その症状、もしかしたらヒアリかも?!|キケンな動植物による患者の症状【7】より)で、「ピペリジン(英語: Piperidine)は、有機化合物の1種で、6員環構造を持つ複素環式アミンである。胡椒の辛味成分ピペリンの構造中に存在し、胡椒(Pepper)にちなんで名付けられた。ヘキサヒドロピリジン、ペンタメチレンイミンとも呼ばれる。」(ウィキペディアより)

それとも、アミンにもいろいろあるから別物で大丈夫なんでしょうか。

まあ、イソシアネートに感作してピペリジンもダメなのであれば、ヒアリの前に胡椒がヤバイということになるかもしれませんが。。。。。