Cocco Lifestyle blog

日々の「実験」について書いてます

【本】トランプ自伝 とりあえずその2

 

トランプ・タワーのところまで読みました。

 

トランプさんのコミュニケーション・スタイルとか人物の見方とかが見えてきて面白いです。

 

 

気づいたことは、

  • 相手のパーソナリティのいろいろな側面を、切り分けて使い分けられる人。
    たとえば、物件の管理人として雇った人は、有能だが盗癖があった。その人を雇えば、他のスタッフの盗みは起こらないので、その人だけ目をつけていればよい、とか、弁護士に対して清廉潔白とはいいがたいが心底誠実、とか。ここらへんの見方は参考になります。
  • 自分から仕掛けていく人。
    ディベートというのは、一方が他方と敵対していたり、まったく違う立場であるという風に思うかもしれませんが、実は、同じAというテーマをについて話し合っているので、「共犯者」でもあったりするわけです。
    たとえば、実際に、非常に議論が巻き起こるであろう問題提起をして、それについて違う視点から反証を重ねて10年経つと、その議論が規定路線になっているというのは、アカデミックな世界でも起こっています。
    不動産についても、トランプさんみたいなデベロッパーだけでなくて、土地所有者、銀行、ホテル経営者みたいな立場の人が関わっていて、敵対関係にあるように見えて、実は、同じニューヨークの開発を行う「共犯者」でもあったりする気がします。
    トランプさんは、まだ何もないところに一石を投じるのが得意で、立場や意見の違う人の中で誰であれば話ができそうか(言い換えると誰なら「共犯者」になってくれるのか)を見分けるのが上手いんじゃないかと。そういうのを商才という、みたいな。
  • トランプ・タワーの買い手として、最近(出版時から考えて1980年代後半)日本人が増えているという話あり。
    日本人が自国の経済を発展させてきたことは尊敬に値するが、商売はやりにくい。グループで来て(12人とかになると全員納得させるのは至難の業)、笑顔じゃないし真面目一本やりだし取引していても面白くない。
    それと、日本は利己的な貿易政策でアメリカを圧迫することによって富を蓄えてきたという記述があります。
    これは1980年代後半の本なので、その後変わっているかもしれないし変わっていないかもしれません。
    しかし、トランプさんのやり方が自伝どおりだとすると、「こちらの申し出を受けたらあなたにもメリットはありますよ」ということを申し出、実際に相手がメリットを享受できるようにして、しかし同時にトランプさんの有利に運ぶようにもって行くという感じがします。
    「日本は利己的」という評価が少なくとも当時下されていたということは、「アメリカは日本と貿易していて全然メリットない」って思っているのかも?

と書いたところで面白いもので、こういうツイッターを見つけました。

 

twitter.com

高校生の方が訳していらっしゃるそうです。

ありがたい。

 

この中で、トランプさんが国境に壁を作ろうとしているメキシコには、相当な額の貿易赤字があるというツイートがありました。

他のサイトで、壁の建設費は日本からの輸入品の関税によって賄う的なことが書かれていたと記憶していますが、まあ、そういうことですよね。

 

日本およびメキシコは、利己的に振る舞い、アメリカの貿易赤字は膨大な額にのぼっている。

と思われているのでは。

 

貿易赤字については、トランプさんが日本を「利己的」と呼ぶのはどうしてなのかを押さえておく必要があるのかなーという気がしました。

素人ですけど。

 

トランプさんの自伝が出版されたのは、1987年ですから、80年代前半にレーガンさんが大統領になり、1985年のプラザ合意による円高ドル安路線のすぐ後になります。

トランプさんは、レーガンさんをあんまりよく思っていないような印象の文章がわりと最初のほうにあります。

なぜレーガン大統領およびその前の大統領が「高インフレ抑制政策として、厳しい金融引締め」を実施したのか、そして、プラザ合意に至る過程はどのようなものだったのか、プラザ合意後どうなったのか、それは現在にどのように影響を及ぼしているのかを、政治からみた経済ではなくて、経済を実際に回している事業家目線で見る必要があるのかもしれません。

 

プラザ合意 - Wikipedia

 

日本の場合は、プラザ合意でバブルが起こり、崩壊してから全然立ち直れていませんが、アメリカはどうだったのか?

 

多分、トランプさんは、日本人て何考えてるかよくわかんないって思ってるよね。

それって、どうして思っているのか、自伝を読んでいると感覚的には分かるのですが、ことばにならなかったところをズギューンと撃ち抜かれたのがこの記事。

 

piano-tree.hatenablog.com

 

respect for others@日本人の対立項は、ヘーゲル的な弁証法的批判精神である。

ヘーゲル的な弁証法とは、Aという意見およびAに対立するBという意見をぶつけたときに、Cという新たな境地が見つかる(止揚)というやつですね。

 

トランプさん、ものすごい弁証法的な人な気がします。

あっちこっちひっかけては、対立意見と共通項(およびリスペクトできる人格)を見出し、そのなかでトランプ・タワーなる化け物建築物を作ったのではないかと。

そういうのが面白くてやっている。

 

けど、日本人て何考えてるかよくわかんないんだ。

分かんないけど、知らない間に物売られて赤字が増えてるんだ。

って感じだったりするのでしょうか。

 

 日本人からしたら、このままのらりくらりと「利己的」と呼ばれながら物売っていくのもアリと思いますけど。

(しつこいですが、自伝は30年前のものなので、実際の状況がどうなのかはよくわかりません。しかし、日本の貿易に関する「利己性」をネタにしていると思われる節があるわけで、それに共感してくれる人が、アメリカにいるということを示しているのでは)

 

 でも、私も面白くないんだー、respect for othersって多くの場合、「あなたの意見に共感しました/感銘を受けました」と言って、何も起こらずに終わり、みたいなのが多すぎて。

(それよりも多いのは、自分とは違う意見を相手が言っていることにすら気づかずに黙殺されることだけど)